並盛中図書室

□骸・幻想2
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闇―――
六道骸はそこに居た。
ヴァリアーとのリング争奪戦の前………
「おやおや、僕の声が聞こえるのですか?」
彼の前に一瞬にして草原が広がる。彼が話し掛ける先に白いブラウスに身を包む少女が居た。後に彼女はクロームと呼ばれることとなる。
「貴方は…?」彼女は彼に不思議そうな視線を向ける。
「六道骸…、ただの散歩を楽しんでいる“ヒト”ですよ。貴女は?」
「凪…。此処は何処なの?」
「幻想空間…ですかねぇ。貴女の思想に基づいて出来ている」
「…?」
「つまり、総て貴女の想像」
草原が今度は小さくなり始めた。
「時間がない。どうします?まだ生きたいですか?僕について来てくれますか?」骸が言う。
「?どういう事?」
「率直に言います。貴女はもうすぐ死んでしまいます。僕についてくれば僕の力で助けましょう」
「…!………、解ってる。これで総て終わるならそれでいい。」
「先程言った通りです。終わることはない。巡るばかりなのです。」
「貴方について行けば…、」彼女は目を閉じて言った。「うぅん。違う。私は…貴方の役に立てるの?」
更に彼女は続けて言った。
「私を必要としてくれる?」
骸は答えた。
「クフフ…、貴女が必要です。では始めましょう…」


凪は目を開けた。
そこは病室。酸素吸入具を付けられた彼女は己の身体の感覚を試した。
動く、ベッドに触れられる。事故で無くした右目以外はしっかり機能しているようだ。
『良いですか、凪…』何処からともなく声が聞こえる。
「骸…様…?」
『クフフ…様は結構ですよ。それより、今から話す話しをしっかり聞きなさい。
良いですか、貴女は今からもう、凪ではないのです。そうですねぇ…、クローム髑髏…といったところでしょうか。これが貴女の新しい名だ。
そして黒曜という所へ行きなさい。僕の仲間がいます。彼らに会うのです。』
骸と思しきその声は消えた。
「はい…解りました……」
暫くすると彼女の姿が病室になくなっていた。
彼女は可及的速やかに両親のいない家へと帰った。
必要な物を取り揃え、骸の言う場所を目指し、女は家を出た
 

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