薬と剣

□薬と剣 十一話
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星が綺麗に輝く夜。
僕はリュウさんのテントへ向かっていた。

・・・・・・自分がどんな顔をしているかわからない。
嬉しいような、不安なような・・・・
自分の気持ちもよくわからなかった。

「セツ?」

第一部隊のテント群の間に入った所で、マナト王子に会った。

「どこへ行くの?
 一人でウロウロしたら危ないよ」

「あ、えと、リュウさんに会いに・・・・・」

「あ・・・・・・そう。
 野暮なこと聞いて悪かったね」

「いえ・・・」

「でもリュウトまだ会議中だよ」

「待ってますから大丈夫です」

「ちょっと長引くと思うよ。
 あんまり長いんで今少し休憩中なんだ」

「そうなんですか。
 でも、待つと約束しましたから・・・」

「・・・・・様子見の先駆け部隊が戻って来たんだ。
 でも精鋭10人の内3人は亡くなって、2人は重篤」

「えっ!」

「タベケの流した毒にやられたんだ」

僕は息を飲んだ。

「タベケは毒で防衛線を張っている。
 どれだけこちらが攻め入ろうと思っても、国に入れなければどうしようもないからな。
 今どうやってそれを乗り越えようか策を練っているところだよ」

そこまで話してマナト王子はジッと僕を見た。

「・・・・・そうか
 セツ、君も会議に参加してほしい」

「えっ!?」

「セツ、あのガラゴの弟子だろう?
 毒の知識あるんじゃない?」

「あ・・・はい。一応」

「よし、じゃあちょっと来て」

「えぇっ?!」

マナト王子は僕の手を引っ張って第一部隊の本部テントへ。
止める間もためらう間もなく、僕らはテントの中へ入った。

中にはリュウさん、ザフト王、ユーマさん、そして一人知らない人が円卓についていた。
皆一様に驚いた顔でこちらを見ている。

それはそうだろう。
僕だってビックリだ。

みんなが固まる中、マナト王子が口火を切った。

「失礼します。
 こちら、ガラゴ・ファインドの唯一の弟子、セツです。
 毒の知識があるということなので会議に参加させたいのですが、同席させてもいいですか?」

「なんと!」

知らない人が目を見張った。

「あの、ガラゴ・ファインドかねっ!?」

興奮した様子で身を乗り出すその人。

「私は構いません。
 カッチオ王は?」

ザフト王は冷静に言った。

「もちろん構いませんとも!」

この人が、カッチオ王。

リュウさんはマナト王子を睨んでいる。


でもマナト王子はそんなことは一向に構わない様子で空いている席に座るよう促した。

「失礼・・・・します」

ユーマさんとリュウさんの間に座る。

「セツ、あなたが来てくれるとは、心強いです。
 実はタベケが使った毒がわからなくて。
 これは帰って来た先駆け部隊が採取して来たものなのですが・・・・・」

ユーマさんが小さな瓶を見せてくれた。
中には紫色の粉が入っている。

「貸していただいていいですか?」

その小瓶を手にとり、ランプの火に透かす。
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