薬と剣

□薬と剣 ニ話
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買い物リストの物を買った後、自分が調合実験してみたいモノをいくつか買った。

こちらはもちろん自分の財布からお金を出す。

買い忘れないかな?



・・・・・・そうだ。
リュウさんにお土産買って帰ろう。

何がいいかなぁ?

そう思ってキョロキョロしていたら、いつの間にか裏路地へ入り込んでいたみたい。

裏路地は店も出てなくて、人もいないから大通りに戻らなきゃ。


その時声をかけられた。

「君」

「はい?」

振り返ると少し痩せ気味で背の高い男の人が僕を見ていた。

振り返った僕をしげしげと見ている。

何だろう?

男の人は満足そうに何度か頷くと、話しかけてきた。


「君に会いたいという方が居るんだ。
 来てくれないかね?
 もちろんタダとは言わんよ?」

「・・・・・・誰ですか?」

「あちらに居られる方だよ」


男の人が指差した方を見ると、大きな黒い馬車が停まっていた。
見た目に違和感を感じる。

・・・・・・何だろう?



嫌な、感じがする。



「僕、急いでるんで」

断って来た道を戻ろうとする。

肩を掴まれた。

「1000ディールでどうだい?
 君が欲しいと言うならもっと出すよ?
 何、あそこに居る方と少しお茶を飲んで話をするだけだよ
 それだけで1000ディールだよ?」

「結構です!」

僕は肩の手を振り払い、全力で走った。

後ろで舌打ちが聞こえ、腕をつかもうとする気配がしたけど、わずかに届かなかったみたいだ。


僕は振り返らず走り続けた。

後ろから何人かに追いかけられているのがわかる。


コワいコワいコワいコワいコワい・・・・・・・・



とりあえず大通りに出て、人混みの中をジグザグに走った。

追いかけて来る人の目を攪乱させるように。

息が切れる。

たくさんの人にぶつかる。

それでも僕は夢中で走った。






走って帰った僕を見て、お師さんは眉をひそめた。

「どうしたんじゃ」

僕は震えながらさっきのことを話す。

お師さんは僕の背中を撫でてくれながら、少し考えこう言った。
「市はまだ2日ある。
 今日はもう店じまいしようかの」
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