薬と剣

□薬と剣 六話
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色々考えている内に僕はウトウトしていたらしい。
トントンというノックの音で目が覚めた。

「はい」

返事をすると朝食をのせたワゴンを押しながらリュウさんが入って来た。

「あれ?お仕事はいいんですか?」

と聞きながら気付いた。
髪の色が銀色だ。
さっきまでは明るいお日様のような金色だった。

「髪の色・・・・・・」

「あぁ、染めた」

ニコやかに言うリュウさん。


・・・・・・・・ううん、リュウさんに似た人。
うまく説明できないけど、雰囲気が違う。

「・・・・・誰ですか?」

恐る恐る聞くとその人はとてもビックリしていた。

「すごいな、君」

言った後、戸口にいる誰かに呼びかけた。

「最短でバレたよ」

「へぇ」

入って来たのは赤髪のリュウさん・・・・・・に似た人。
銀髪の人が言う。

「はじめまして。
 僕はこの国の第一王子でリュウトの兄、マナト・エミリオだよ。
 リュウトがお世話になりました」

次に赤髪の人が口を開いた。

「同じくリュウトの兄で第二王子、カザト・エミリオ。
 僕たち三つ子なんだ」

三つ子!!
目を丸くする僕。
目を丸くしながらも挨拶をした。

「はじめまして、薬師のセツといいます」

頭を下げる。
なんだか緊張する。

「まぁ、そんなに固くならないで。
 朝食でも食べながら話そうよ」


マナト王子がベットの近くに机と朝食を用意してくれる。

「すみません、ありがとうございます」

恐縮してしまう。
カザト王子はそんな僕を見て

「想像していたのと違うな」

と言った。

「想像・・・・・ですか?」

「あぁ。もっと勝ち気な感じな奴かと思った」

「まぁ、今までのを見ていると、みんなそんな感じだからね」

「すみません、何の話ですか?」

「ん?ごめん、こっちの話だよ」

言葉を濁される。

王子二人は椅子に座って、僕はベットに腰掛けて朝食をとる。
・・・・・冷静に考えるとすごい図だ。

っていうか僕この状況で冷静でいいのかな?

「セツ、と呼んでも?」

「あ、はい、いいです」

マナト王子の問いに答える。

「今回の事件一連のことはリュウトから聞いた?」

「はい」

「僕が指揮をとっていた件だった。
 巻き込んですまない」

「いいえ!」

頭を下げたマナト王子に慌ててしまう。

「まぁ、半分以上はリュウトのせいだけど。まったく」

カザト王子が呟いた。
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