薬と剣

□薬と剣 三話
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次の朝ガラゴは俺の託した書状を携えて、出かけて行った。


ガラゴ・ファインド。
未だ城にはその名が轟く伝説の薬師。
城内に入り、王、王子らに謁見するのも容易いだろう。



うつ伏せになった俺の背中を診てくれていたセツが顔を上げる。

「リュウさん、すごい回復力ですね。
 もうほとんど傷がふさがってる」

感心した様子だ。

「俺がすごいんじゃなくて、薬師の腕がいいんだろ」

「はい!お師さんは本当にすごくて・・・・・」

「お前もな」

俺がセツを見て微笑むと、とたんに赤くなってうろたえた。

「ぁ・・・ありがとうございます」


視線を伏せ、縮こまり、目を泳がせているセツに、何とも言えない気持ちが湧いてくる。


「・・・・かわい」

「え?」

「いや、何でもねーよ。
 傷ふさがってんなら動いてもいいか?」

「激しく動かさなければ、いいです」


俺はそーっとベッドを降り、同じくそーっと腕を上げたり腰をひねったりしてみた。


「どうですか?」

「ん。
 まだちょい違和感あるけど痛くはねぇよ。
 日常動く分なら支障なさそうだ」

言いながらグッと背伸びをする。

「いてっ!」

「大丈夫ですかっ!?」

「・・・・・背中を伸ばしたりは無理みたいだな。
 剣はまだ振れねぇか」

「・・・・無理はしないでください」


心配そうにこちらを見上げてくるセツ。

立って並ぶと余計小さく思える。
セツの頭がちょうど俺の胸下くらいだ。

セツも身長差を感じたようで話しかけてくる。
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