薬と剣
□薬と剣 十八話
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次の日の朝はちょっとしたパニックからはじまった。
まず僕がリュウト様の腕の中で起きたことにビックリしてしまい、大きな声を出してしまった。
そしたら部屋の外にいた兵と侍女の方が入ってきて
「まぁ」
「あぁ」
と赤面した。
その騒ぎでリュウト様が目覚め、ニヤリと笑って
「そういうことだ、邪魔すんな」
と人払いをしてしまった。
何が何やらわからない間にリュウト様は僕の頬にキスをしてくださり、僕が真っ赤になったところでマナト王子がやって来た。
半ば引きずるようにリュウト様を御公務へ連れて行ってしまう。
なんだか嵐のような朝。
部屋に一人残された僕はそっと頬に手をやった。
顔がふやけてしまうのがわかる。
好きな人が居てくれるってなんて・・・・・
嬉しくて暖かくて、素敵なことなんだろう。
「お兄ちゃんっ!!」
朝食後、ヨグノがやって来た。
テテテと走ってぽふんと僕に抱き付く。
僕も抱きしめ返した。
「これからしばらく一緒だね。
よろしくね、ヨグノ」
「うんっ!嬉しい!」
ヨグノは外へ出られないので、ずっと部屋で過ごす。
一緒に本を読んだり、話したりした。
リュウト様の話になると、やはり複雑そうな表情になるけれど、それに対して何か言うのは我慢しているようだった。
たぶん僕が困ってしまうから。
賢い子だな、と思う。
同時にこの歳でそういうことを我慢しなければいけないことに胸が痛んだ。
夕食は今日もリュウト様と一緒にとる。
リュウト様とお師さんとヨグノと僕。
ヨグノはリュウト様を怖がっていたけれど泣いたりはせず、ずっと僕の隣にいた。
朝の騒ぎの件でお師さんがリュウト様を怒る以外は今日も談笑となった。
穏やかな時間が流れる。
食事が終わると、今日もお師さんは部屋を出て行った。
「今日はもう仕事も何もないから・・・・・・
お前の部屋、行っていい?」
「はい」
リュウト様が来てくれる。
嬉しくてニコニコしながら返事をするとリュウト様の目元がほんのり赤くなった。
「頼むから、もう少し警戒してくれ・・・・・
調子にのりそうだ」
「はい?」
意味がわからず首を傾げていると、それまで黙っていたヨグノが大きな声で言った。
「ダメ!
リュウトは来ちゃダメ!!」