薬と剣

□薬と剣 十五話
1ページ/8ページ

する事がたくさんあって助かった。
何かをしていなければ、目を覚まさないセツのことばかりを思い、気が狂っていたのではないかと思う。

俺がタベケ王の首をとったことで、エミリオは手柄を独占する形になってしまった。

エミリオ、カッチオ、センドの三国会議で、エミリオは責められる形となった。

王がいなくなったタベケ国の今後に関しての一切をエミリオは放棄させられた。
しかし復興資金はどの国よりも出す。
ということで和解する。

不利な条件だが、非はこちらにある。
飲まざるを得なかった。


そして、今回のことで決めたことがある。

俺は、王太子となった。

王太子とは次期王となる者のことだ。
王子、という中途半端な身分ではセツを守りきれなかった。
常に側に居ておけば、こんなことにはならなかった。
自分にもっと権限があれば、もっと早くに助けに行けた。

大切にする、と誓ったのに。
それが・・・・こんな・・・・・

思い出した現状に胸が張り裂けそうだ。

自信がないだとか、ふさわしくないだとか言っていられない。

今回俺がしでかしたこと。
セツを守れなかったこと。
国に対してしたこと。

全てに責任をとろう。
次期エミリオ王として。

そしてこれからは絶対に守る。
セツも。国も。





エミリオ軍は10日かけて城へ戻った。
事実上三国連合軍が勝ったので、勝利凱旋だ。
国民は大歓声で迎えてくれたが、俺はそれに手を振って応えることはできなかった。

・・・・・・あの戦でこの国が得たものは何もない。

苦々しい思いで城へ帰還すると、来客が来ている、ということだった。
ガラゴだった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ