アテム長編

□僕は熊
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拝啓お父さん、お母さん

もう2日もあなたに会っておりませんが、体調はいかがでしょいか?


あ、私なら生きてます。なんとか。


あぁ私の居る場所ですか?

はい、少なくとも私の星にはこんなどでかい建物や車はありませんでした



いや、こんな風に見えるあたり建物がでかいのではなく私が小さくなったんでしょうか

そう…先程から感じる皮膚の冷たさとか軟らかさ





【僕は熊】



拝啓お母さん、お父さん

多分おそらく絶対もう会えないでしょう

いや、別に会えなくても良いかもしれない



…ということで、




すう…





「今月分のお小遣いもらってねーえええええ!!」









「…あーすっきり」


これで心置き無くあの世へ逝ける気がする…

とにかく来世では今月分のお小遣い貰おう、うん。


そう考えて立ち上がった時だった


「あの…」


「…」





な、






なんてこったあああ!!




「えと、」


「(うわぁ、絶対バレたバレた!)」


じ、冗談じゃない。こんなところで実験台にされるなんて…


ありえない!!

とりあえず私は黙りを決めることにした



「いま…これ、しゃべった…?」


「(な、なにするんだ!)」


私のもとへと近づくと少年は軽々と私の体を持ち上げた
以前ならこんな容易く持てる重さじゃなかったのに


「ねぇ」


「…;」


「…うーん…僕の空耳かなぁ…?」


「(空耳だ空耳!早く体をはなせ!)」


「でもこのぬいぐるみ…捨てられて可哀想……そうだ!」


ビクッ


「家に持って帰ろう!」



あぁ…




今、何かが途切れる音がしたよ



________


(うるさかった今までの私へ、さようなら。少しは静かになれる気がするよ)




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