ごちゃまぜ短編

□白い毛
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ねぇバクラ?


…………


…あぁ、いないのか











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出会いは突然。




私は泣いていた。

その日まで12年間飼っていたウサギが冷たくなっていた

さっきまで私の膝の上で暖かく丸まっていたウサギ



独り暮らしの私にとって唯一の家族であり、寂しさも慰めてくれた

ウサギ

泣いてる私の頬を優しく舐めてくれたウサギ






「…」











「ヒック…ぅ…」






「何泣いてやがる」



突然の声に顔を上げると 彼 は立っていた。





目付きが悪く、言葉はぶっきらぼう…

優しくて、愛しい−…





…バクラ














「ねぇバクラ?」




…………




「あぁ、いないのか…」


先程まで温かかったベッドはひんやり冷えていた



どうやら私は『独り』は恐いらしい

その場で泣き出す私を慰めるウサギももういない


「バクラ…」


「なんだよ」


「え…?」


声の主は呆れたように、哀れむような表情だった


「バクラ…どうしていなくなるの?」


「俺様は飯を作ってただけだぜ?」


「う、うそ!私なんてどうでもいいんでしょ!?私なんか独りでもっ…」


「名無しさん?」


「気づけばいつも独り。バクラはいいよなにも知らないで!…私はッ、私はバクラが…!」


「チッ…聞け、名無しさんっ」


「いやだ!バクラなんて大嫌い!」



「…………」


「ぁ……」




酷く、悲しい顔をしていた


「バク、ラ…?」


「………」


「泣いてる、の…?」


「…名無しさん、俺様は…」











「愛してたぜ」










ぺろり、と涙の線ができた私の頬を舐められる


「ぁ…」


慣れた感覚


よく私、こうやって舐められたっけ…



去って行くバクラの背中を見つめながら、心はさめていく






…バカだな、私。


何で気付かなかったのか…

彼は同じ名前だったじゃないか、





台所まで行くと、テーブルには彼が作った料理と


白い毛が一本、落ちていた




,







バクラがうさぎなお話


編集してもうまくいかないお話

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