□戀〜百目鬼自覚編〜
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四月一日はぷいっとそっぽを向くとお菓子をいらただしげにぼりぼりと噛んだ。

(あーもう!何てやな男!皆きゃあきゃあ騒ぐけどこいつの何処が好いのよ!)

ぷりぷり怒っている四月一日を百目鬼はじっと見つめていた。
つやつやな黒髪、ぱっちりと長い睫毛に縁取られた目、淡くピンクに色付く頬、ふっくらと肉厚な唇。
美少女だと思う。ただし美しさより可愛らしさの方が際立つが、確実に美少女だと思った。
しかし、今まで美少女と呼ばれた女を沢山見てきたが彼女程目をひかれた女は居なかった。
何だか気になる、話し掛けたい、胸がムズムズする、…抱き締めたい…。

はっとして四月一日から目を反らした。
あぁ、そうか。

四月一日に戀(こい)をした。

成る程、だからこの席に座りたかったのか。
しかし、前途は多難だな。まずは普通に話す所から。

「何ため息ついてんのよ!ため息つきたいのはこっちの方よ!!」

百目鬼がため息をついたのが勘に触ったのかきぃっと睨んできた。
しかし、それは可愛らしくあったけど。
ふ、と口端にお菓子のカスが付いていた。

「口端にカスが付いてるぞ」

親指の腹で取ってやる。少しだけ肉厚な唇に触れてその柔らかさに背筋がぞくりと震えた。

「あ、ありがと…じゃない!!余計なことしないでよー!!///」

「覚悟しておけよ」

そう、覚悟しておけ。奪われる覚悟を。

「は!?」

訳の分からないといった四月一日を一瞥し席を離れた。そして彼らの戀の幕は切って落とされたのだった。



END.

$$$$$$$$$$$$後書き

二話目です。百目鬼くんの戀自覚話。
これから彼らの戀は始まりますのでお付き合い願います!
ちなみに恋の字より戀の字の方が好きです。
いとしいとしと言う心。というそうなのでVv
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