□詩6
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渡れない海がある

その色は薄暗く波の平穏であることがなく、常に牙を向いている獣のようだ

渡れない海がある

その向こうの大陸に投げかけるわずかな希望さえも泡になっては沈んでいき、まるで取り残された気分だ

あの地平線の先には喜びや安らぎで溢れている。

誰もが笑いながら穏やかな午後を過ごしている。過ごしているはずなんだ。

まるで

あの彼方へこの身のすべてが吸い取られていくようではないか。


忌まわしい、

妬ましい、

あの地平線。

渡らない海。

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