Prof.Layton

□貴方に一杯の紅茶と
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ある小春日和の冬の日、
陽気に包まれた暖かい昼時。
僕はいつものように先生の大学にいた。


講義の時間だから、今先生の部屋を訪れても
散らかった部屋だけが残されているのだろう
ことを知っている僕は、大学内の動物達と交流
するために中庭を散歩していた。


「いい天気だなあ」


昨日まで長続きしていた大雨が嘘のようだ。
例年より暖かい今年は、大雪にはならず、
いつもつもらない粉雪か、大雨がざあざあ
降るかだった。


いつもなら水たまりに入ったりするのだが、
生憎今日は長靴ではなく普通のスニーカー
であったため、僕は水たまりを慎重に避けながら
散歩をする。


ちちちち、と中庭の一番高い木にとまる小鳥が、
今日ようやく外で遊ぶ事ができたんだ、と喜んでいる。


僕はそちらを向いて笑いかけると、
その木の下で朝食のパンの包みを開いた。


とたんに集まってくる小鳥や鳩に、
細かいパン屑をまきながら、今日は先生と
どんな話ができるかなと考えていた。


雑誌に載っていた一番難しい謎をついに
解いたんですよ、と言いたい。
それと先生が宿題に、と出して来た
古い本の暗号も解けた。



「これが解けたらなにか君にプレゼント
 を贈ろう」



と笑っていたから、僕は先生が棚の中に
いれっぱなしになっている、苺色のボンボン
を貰おうかな。
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