華空小説=モノクロ

□ジュンパク
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「ねぇ……………?」



彼女の形が整った唇から紡がれた言葉は小さく震えていた。


そっと髪を鋤きながら僕は微笑んだ。



「うん」



愛しくて愛しくて仕方がない。


頭のすみでは誰かが「いけない」と囁いている。


でも僕には押さえきれない感情。


こんな気持ちになるなんて初めてだったんだ。


彼女を見かけたその日。


どす黒い胸の奥深くから溢れる物凄く歪な形をした『愛』。


「あのね…あのね…」


「うん」


黒い瞳は揺れながら涙を溜め込んでいる。




  
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