短編
□ある意味ホラー
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『前々から思ってたこと。しゃちょーの腰に、抱きつきたくなる』
「……は」
『は じゃあないよ、しゃちょー。私はしゃちょーの腰に抱きつきたい』
「貴様は馬鹿者だったが訂正する。大馬鹿者だ」
俺と名無しがいつか交わしたくだらない会話だ。
その時は受け流していたが、そのツケが今更になって回ってきた。
「名無しっ!貴様、いい加減離れろッ!!」
『腰ぃ!しゃちょーの腰ぃ!!』
ズルズルと引きずるように俺は、足を動かし名無しを引き離そうと試みていた。
珍しくおとなしかった名無しに少し疑問を抱きながら、デスクワークをしていたが奴はいきなり動き出したのだ。
『やっぱり、しゃちょーの腰っていいよね〜』
すくっとソファーから立ち上がり、俺に近付いて『しゃちょー、抱っこ』とせがんだ。
無論、断った。