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□第7話
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「…えー、みんなもう知ってると思うが、先日、宇宙海賊"春雨"の一派と思われる船が沈没した。
しかも聞いて驚けコノヤロー。なんと奴らを壊滅させたのはたった二人の侍らしい。」
「「え"え"え"え"、マジすか!?」」
同じ事を再び言う近藤さんだけど、今度の隊士達の反応は先程とは比べ物にならない。
それもそのはず。
容赦なく副長さんが撃ったバズーカで近藤さんと副長さん以外の隊士はまる焦げ状態だ。
しかし副長さんは隊士達の過敏なリアクションを見て
「しらじらしい。もっとナチュラルにできねーのか」
と、再びバズーカを構える。
先程、私が仕事に慣れないと言ったのは、真選組のこのような横暴で荒っぽいやり方に慣れない、というのもあるかもしれない。
確かに、会議中にバズーカが撃たれるなんて聞いたことがない。
……本当はとっても良い人達なんだけどね。
私は焦げ臭い部屋の中、苦笑いを浮かべながら話を聞いていた。
「この二人のうち、一人は攘夷党の桂だという情報が入っている。まァ、こんな芸当ができるのは奴ぐらいしかいまい。」
桂とは"狂乱の貴公子" "逃げの小太郎"と異名をもつ攘夷浪士で、江戸中に轟いたその名は幕府からの指名手配を受け、今日、私達真選組は彼を反乱分子として日々追跡を行っているのだ。
「春雨の連中は大量の麻薬を江戸に持ち込み売りさばいていた。攘夷党じゃなくても連中を許せんのはわかる。
…だが問題はここからだ。」
一呼吸置いた近藤さんは再び口を開く。
「その麻薬の密売に、幕府の官僚が一枚からんでいたとの噂がある。」
近藤さんのその一言で、隊士達の目が一瞬にして光る。
――近藤さんの話によると、その官僚は春雨が麻薬の売買を円滑に行えるよう協力する代わりに、利益の一部を春雨から受け取っていた、ということだった。
そして噂を聞き付けた攘夷浪士は「奸賊討つべし。」と、その官僚の暗殺を目論んでいるらしいのだ。
その事柄を言い終えた近藤さんは勢いよく立ち上がると、隊士全員を眺めてからこう言った――
「オレたち真選組の出番だ。」
この言葉で、私達の一日は始まっていく。