main
□第3話
1ページ/11ページ
第3話
( 面白ェ女でさァ )
「トシ、今年の隊士は決まりだな。」
「…。」
「トシ?」
「…あ、あァ。」
情けない話だが、俺は呆気にとられてしまった。
あの小娘、苗字と言ったか……、面接の時の、あの瞳は本物だった。
相手は容赦なく攻めていたが、小娘はするりとかわしてしまう。
かわして 打つ――
俺は…いやきっと周りの連中もだ。あの短い打ち合いの時間で小娘の剣に魅せられた。
こんな戦い方をする奴は見たことがねェ。
俺も完全に甘く見すぎていたのだ。全く情けねー話だ。
「…ほんとに情けねーでさァ」
「そっ、総悟!?」
「名前がここまで戦えたとはねェ。この場にいた奴等全員、驚いてポカンとしてやす。」
「そ、そうだな…」
お、俺も十分驚い…
「土方さんは女入れるのを反対してたらしいですが、あの試験見てもまだ名前が入隊するの反対ですかィ?」
「…、いくら試験で勝ててもアイツは実戦経験がねーだろ。アイツの道場剣術とは勝手が違ェーよ。」
「……土方さんも本当は名前に驚いてんだろィ?認めんのが悔しいだけでさァ。」
なっ、なんだと…
「くち、試合終わった時土方さん空いてましたぜー間抜けズラでしたねィ。」
「ッ!総悟テメェ!いい度胸だァー!!!」
「本当の事でさァ」
―――…土方さんも早く
認めちまえばいいんでィ。