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□第1話
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――――コンコン


「失礼します。」



一体落ち着きは取り戻したものの、
とっつぁん!私、怒ってるんだからね!


しかしとっつぁんの様子は
私の予想とは全く違っていた。




「名前ちゃぁあん!
 ほんとにほんとに、ほんっとに
 すまねェェエ!!」



私がドアを開けや否や
ガバっと抱き着かれた。


いつものようにふてぶてしい
態度かと思っていたら
長官の目には涙が溜まっているようで…

さっきまでの、ぶん殴ってやる!という
気持ちは薄れてしまった。




「…松平長官、訳を教えて下さい。
 なんで私がクビなんですか?

 失敗した時もあったけど
 私は今まで頑張ってきました。
 必要ならもっと働きます!

 だから…
 まだ見捨てないで下さい。」



なんだか
私までも泣きそうになってしまう。




「名前ちゃん…
 俺は名前ちゃんが此処に入ってまだ
 初々しい時から見てきた。
 名前ちゃんは昔も今も
 とっても優秀だよ。

 …だけど今回は仕方ねーんだ。
 今回の解雇理由は幕府が扱う極秘だ。
 こればっかりは口が避けても言えねェ
 どうすることも出来ねェ。

 本当にすまねェ、名前ちゃん…」



松平長官の言葉は弱々しい。



…幕府が扱う極秘?

何それ、
私なんにもしてないのに…




「わ、私はこれからどうすれば
 いいんですか?
 もう行く当てなんて、ないんです。」


 

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