Long stories

□臨界の華々 1.花瞼が開くとき10
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「…なんじゃこりゃ」


牢屋から長いら旋階段を上がり出てみると、思いもしなかった場所に出た


「ようこそ、"華隠しの樹"へ」


そう言って、軟らかく私に微笑む男

ぽかんと口を開けた私の顔は 相当間抜けだろうが仕方がない


「なんじゃこりゃ…?可愛い」

さらにギュッと腕に抱きついてきたが気にしてもいられない


ここは 樹の中だったんだ
それも、見た事がない位の大木

だって、樹を刳り貫いた中に広い会場のような造りの場所があるんだから


「通例だと、こちらで百華数名を立ち合わせて判決を行います。…貴方は違いますが」

「椿様、もっと上」


そう説明されながら、壁に沿って上がる階段を上りはじめた


「椿様は"華ノ間"に居られます」

「こっち」


女の子に連れられ 階段を上りきり丸く削られた出入口を出ると、太い枝の上に出た

外は見渡す限り霧になっているため、どんな場所にこの大木が立っているのか見当がつかない

だけど、今これだけ太くしっかりした枝に立っている
相当の大木だ






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