Long stories
□臨界の華々 1.花瞼が開くとき8
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「この世界って、何なの?」
「何って…魔法界って言えば正解?」
「…魔、法?」
え…魔法って、あの魔法?
呪文とか杖とか箒とか、魔女や魔法使いが関わる…魔法?
ぽかんとした顔で見返せば目を見開かれた
「うわっ、マジかよ。あんた、例外中の例外なわけ?。ちょっと上行って伝えてくる…」
「あっ、待って!!」
必死に檻に近づき、止めようと大声を張り上げる
しかし私の声に耳を貸すことはなく、灯りを残して少年は立ち去ってしまった
ひやりと冷たい空気だけが後に残り、私は身震いした
…咄嗟に嘘を吐いたものの、本当に困ったことになった
奥歯を強く噛みながら、嘘を吐いて正解だったのか考える。
それ以外にも考える事は山積みだ
まず、ここは私のいた"世界"ではない
魔法があり魔王がいる、そんな非現実的な世界
これは残念ながら現実だから、"非現実"ではなくなった
今の私は、今までいた"世界"ではない場所にいるだから
そして"百華"と呼ばれる存在
最初の二人組もさっきの少年も着物…和装をしていた
今思い返せば、この牢屋の中で目覚めてからちびっこもそんな格好をしていた
そして"この世界"では異質な黒髪に黒い瞳
尚更、私は嘘を吐いたことで"例外中の例外"になってしまったらしい
「何でこんなことに…」
ただ、電車を乗り過ごしてしまったばかりに
見たことのない蝶に興味を示したばかりに
後悔ばかりが押し寄せてきた