Long stories
□臨界の華々 1.花瞼が開くとき7
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『こんな子がいなければ、陽太は…!』
幼い頃の、記憶
他人事のように、何の感情も表さず聞いていたあの頃
『大体!こんなどこの子かも分からないような子供、預かる必要なんてなかったのよ!!』
私が、この人達と血の繋がっていない事を知った
『陽太じゃなくて、菖蒲が死んでしまえば良かった!』
「…ちゃん、ねぇちゃん!」
「え…、っ」
本日二度目の痛みを伴う目覚め
ズキズキと痛む後頭部に触れようとすると、両手が縛られている事に気付いた
「ここは…?」
「よく分かんねぇ…でもねぇちゃん生きてて良かった」
余程心配していたのか、目元の何かに光が反射している
見渡してみたところ、私達以外は誰もいないようだ
薄暗い中、さらに目を凝らして見る
すると、ここが"牢屋"と呼ばれる場所であることが伺えた
「へー…初めて入ったよ、牢屋なんて」
物珍しく正面の囲いを見つめる
見たところ、木製だ
「鉄じゃないのか…ふーん」
「ねぇちゃん、何言ってんの?」
焦りの感じられない私に痺れを切らしたのか、ちびっこが声をかけてきた