Long stories

□臨界の華々 1.花瞼が開くとき6
1ページ/3ページ





「…女の子、生かして帰れば 椿様、喜ぶ?」

「大変喜ばれるでしょう、今問題になっている事を全て解決してくれるでしょう、あの子猫さんは」


柔らかな微笑みを向ける男と無表情で途切れ途切れに話す少女

男の笑顔が、怖い

音もなくにじり寄ってくる二人

ちびっこは私を守ろうとしているのか、必死に睨み続ける



「…さて、少年。君がここ最近森や街を荒らす、問題になっている困った子供ですね?」

「俺は何も荒らした覚えねぇ!さっさと帰れ!!」

「街に出て、店荒らす。十分」



口を閉じ、ぎりぎりと歯軋り
それは きっと、図星だからだろう



「記憶ない、名前ない でしょ?」



驚きは私とちびっこ、二人同時

どうして、何で、知っている?

このちびっこ以外にも記憶も名もない子供がいるのだろうか?


ぐるぐる頭で駆け回る言葉に気を取られていると、一陣の疾風



「申し訳在りませんが、名のない子供は私共の所で預かることになっておりますので」



すみません、そう聞こえたのは すぐ近く

うっ…と苦しそうな声を上げ、目の前のちびっこは膝をついて倒れた






次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ