Stories

□ラクガキと雨傘
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「数学が将来、何の役に立つんだよー…」



誰もが思うだろう問題点を呟きながら窓の方を向く


図書室は最上階である五階に位置する

無駄にでかいガラス張りの窓からは広い広い、空

冬の名残を残す外はまだ寒そうだが、空は澄み渡っている



「あー、サッカーしてぇ」



ぶつくさ文句を呟いていると、目に留まった小さなラクガキ


『英語が将来、何の役に立つんだよー!』


お、教科は違くとも考えが同じ奴がいる

若干の喜びを感じながら、その下に少し付け足した



『考え一緒』



変な仲間意識からなのか、無意識に顔が緩む



「よし…お、もう時間だ…」


広げた問題集や教科書類をかき集める

立ち上がるついでに、再びラクガキに目を向ける



「ま、消すことないよな…」



…明日あたり、また何か書かれてたりして

そうだとしたらおもしろいな


男なのか女なのかも分からない相手に、変な期待を持ちながら静かに立ち去った






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