Stories
□ラクガキと雨傘
3ページ/27ページ
「数学が将来、何の役に立つんだよー…」
誰もが思うだろう問題点を呟きながら窓の方を向く
図書室は最上階である五階に位置する
無駄にでかいガラス張りの窓からは広い広い、空
冬の名残を残す外はまだ寒そうだが、空は澄み渡っている
「あー、サッカーしてぇ」
ぶつくさ文句を呟いていると、目に留まった小さなラクガキ
『英語が将来、何の役に立つんだよー!』
お、教科は違くとも考えが同じ奴がいる
若干の喜びを感じながら、その下に少し付け足した
『考え一緒』
変な仲間意識からなのか、無意識に顔が緩む
「よし…お、もう時間だ…」
広げた問題集や教科書類をかき集める
立ち上がるついでに、再びラクガキに目を向ける
「ま、消すことないよな…」
…明日あたり、また何か書かれてたりして
そうだとしたらおもしろいな
男なのか女なのかも分からない相手に、変な期待を持ちながら静かに立ち去った