涼宮ハルヒの憂鬱

□悪ノ召使
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ゴーン…ゴーン…
この国で一番大きな教会の鐘の音が響き渡った。
「ハルヒ」
少し老けた感じの女性の声が、私の名を呼ぶ。
「この方が、あなたの新しい執事になるのよ。ほら。挨拶して」
女性は私の背中を押した。
私の目の前には、背の高い男性が立っていた。
「こんにちは。初めまして。この度、貴女の専属執事となりました…」
彼は行儀よく頭を下げる。
「こ、こんにちは…」
私より10cmほど高い目線にあわせるように、少し上を向く。
「私はハルヒ」
「どうぞ。お好きなように呼んで下さい」
そう言って、彼は微笑んだ。
「じゃ、ハルヒ。国の事は任せたわよ。キョンくん。ハルヒをよろしくね」
「はい」
女性…この国の、元王女は、寂しそうに微笑んだ。
交代したくないなら、しなくていいじゃない。
そしてこの国の新しい王女は、私。
さっきまで女性が腰掛けていた椅子に、腰を下ろす。
彼は閉じたドアに一礼した。
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