てにす

□過去はくす!!
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『け、謙也くん!お疲れさん!』

「おー。サンキ……すすすスマン!」


マネージャーと部員の恋路を見守るんも部長の立派な務め、やねんけど。俺、ちょっとキレてもええやろか?ええやんな?…いや、ええやろ、マジで。


『う、ううん!だだだ大丈夫やし、新しいん持って来るから…』

「お、おん。ホンマにスマンかったな…」


何やの、あの2人。“もどかしい”てあいつらの為にある言葉やろ。ちょっと手が触れただけやのに頬っぺたなんか赤く染めちゃってさ。もう、何やのホンマ。

「………。」


うわー。謙也今絶対名前言うたで!アイツ、意外にむっつりやもん。絶対むっつりやし。ちょ、ホンママネージャー気ぃ付けなアカンよ。俺等のマネージャーやねんから。拾い上げたボトルに卑しい目向けるようなむっつりヒヨコ頭から逃げるんや!


『け、謙也くん!』


新しいボトル抱えて走って来たマネージャー。抱えてやで?何やそのシチュエーション。オイシイやろ。オイシ過ぎるやろ。くそ。謙也が羨ましいわ…って俺何言うてんのやろか。


「あ、ありがとうな!」

『ううん、』


今日も秋風が寒いんとちゃうの?せやのにやっぱあの2人の頬っぺたは赤いんやけど。何?体感温度ちゃうんやろか。ほんなら俺も参加しなアカンやろ。やって寒いねんて、俺。ホンマ寒いだけやし。断じて謙也とマネージャーを邪魔したろうとか、野暮な事は考えてへん!……筈やんな、俺。


「寒ないか?」

『ぅん、大丈夫やで!』


あーあ。ホンマ邪魔したろかな。愛しそうな視線をマネージャーに向ける謙也を見上げるマネージャー。要は見つめ合うとるって事、やね。うん。それより…知ってるやろ?今部活中なんやけど?ええ加減怒るで、俺。そろそろ部長の出番やろ?や、嫉妬とちゃうから!それだけは解ってや?ホンマ嫉妬とかせぇへんし。謙也に嫉妬とか…嫉妬……とか……。


「部員Bとマネージャー、そろそろ離れよか?」

「な、何やねんな!別にひ…引っ付いてへんし!!」

『あ、白岩くんや。』

「せやね、引っ付いてへんね。それとマネージャー?俺、岩とちゃう、石やからね、石。」


名前すら覚えてくれへんてどない?そんだけ眼中無いって意味やの?ホンマ傷付くわー。謙也のくせに、俺等のマネージャー独り占めしおって。腹立つな。腹立つついでにも1個言うたろかな。言うてもええやろか。ええやんな、俺、傷付いたし。それくらい堪忍してや、お二人さん。


「部員Bもマネージャーも乳繰りあうんは部活終わってからにしぃや?」

「ち、ちちく…」

「それと謙也、はよマネージャーに好きって言わな盗られんで?俺に。」

「え?!アカン。ちょ、マジ止めて。マネージャーは俺のやし。な?俺んが好きやし、付き合おな?な?」

『は、はい…!!謙也くん、ウチも大好きやからね!』


あー。ホンマ腹立つわ。部員BのBは馬鹿のBやから。関西人に馬鹿とか言わさんといて、アホ。謙也のアホ。やっぱ謙也はアホや。幸せそうなアホ面して。ホンマアホやし。何や悔しいから今日の部活もう終わろかな。いや、待てよ。腹立つついでにボールぶつけたろかな。ほんで毒舌な後輩と謙也イジって遊ぶんや。コレ、俺の明日からの楽しみやし、生きる糧にしたろ。うん。


「って事やから、コート入ろか。な、謙也くん!」

「何や笑顔がむっちゃ怖いんやけど…。」

『謙也くん、頑張ってね!』


…ま、今日の所はマネージャーに免じて勘弁したるから、泣かしたら許さへんで?覚悟しときや、謙也くん。



四天宝寺恋物語の結末は
王子やなしに部員Bと

幸せになりましたとさ。



(王子?勿論俺やし、俺。)
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