「郷子ちゃん、鵺野先生はパーティーくるの?」
「あー。ぬ〜べ〜ならさっき会ったのよ、近くで。それで無理やり連れてこうと思ったら、無理だって断固否定して逃げちゃった」
「逃げた…?」
「うん」
逃げた、ということは郷子たちに捕まらぬよう遠回りをしたということなのだろうか。
だから…約束の時間に遅れている?
そう考えればつじつまが合う。
彼に限って約束を、ましてはデートをすっぽかすようなことなどないだろう。
「なら、もう少し待ってれば来るかな…」
「?、…名無しちゃん?」
深刻そうに何かを考える名無しに、郷子は怪訝そうにその顔をのぞく。
すると近くのコンビニから出てきた美樹が、買い物袋片手に走り寄ってきた。
「きょーこ。早くいかないと、皆待ってるわよ」
「…分かったわよ美樹。じゃあ私たち行くわね」
「うん、じゃあね」
友人に手を振り、見送る名無し。
小さくなっていく郷子たちを見つめていると、郷子にせがまれ渋々、克也がこちらに向かってきた。
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