Novel

□絶対魔王論。
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「なぁ…ソラ?俺…なんでこんな格好してるんだ…?」

  
                    絶対魔王論。

耳をひくひくと動かすショウ。
彼の目線の先には、バッファローのような角をつけた大魔王ことソラが佇んでいる。
「え?だって君は約束しただろう?テストの成績が悪かった方がなんでも云うことを聴くって。」
黒いオーラが見えそうなほど、ソラは楽しそうに嗤う。
「う゛っ…それはそうだけど…。それでも、なんで…なんで………っ」
すう、と息を大きく吸う。
「猫耳なんだよぉ―――ッ!!?」
「似合うから。」
きっぱりと言い放つソラに、ショウはがくっと肩を落とす。
「それに、丁度良くスマイルさんが通りかかったし。」
ソラはニッコリと笑う。
「うぐっ…思えば、アレが運の尽きだった…」
耳と尻尾をだらりと項垂れて、ショウは落ち込んだ。

ソラはショウに近づき、徐に耳に手を伸ばす。
「んみゃッ!?」
驚いたらしく奇声を発するが―――猫っぽい。
「へぇ…こんな所まで猫なんだね。」
ソラはふにふにと耳を触る。
「ゃっ…やめろよ!くすぐったいだろ!?」
ショウは身をよじって逃げようとする。
「やだ。やめないよ?ショウが今度の土曜日、星空の観察一緒に行くっていうまで話さない。」
ソラは依然耳を触り続ける。
「ちょっ…ホントにやめて…ッ」
「ショウが約束してくれたら。」
魔王の笑みで、ソラは云う。
「あーもうっ。判った!判ったから離せ!」
ソラはぱっと手を離し、にやりと笑う。
「じゃぁ、約束な。」
その笑みがあまりにも、その魔王ルックに似合いすぎていた。


――俺の耳より、絶対魔王ルックのソラの方が似合う!つーか、此奴、絶対魔王だろ!

ショウの絶対なる確信と共に、ショウの中に絶対魔王論が気づかれたことを、
当人(ソラ)は知らない。




























追 伸 。
「ところで、なんで魔王なんだ?」
「いや、似合いそうな気がしたから。」

絶対に魔王だ…!
確信が寄り強くなったのは、云うまでもない。

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