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□好き
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あいつのどこが好きなのかと聞かれたら


う〜ん・・・そうだな。一言じゃ言えねぇな。



どこが好きなんだろう?正直分からん。俺が心から尊敬してるのは十代目ただ一人だけだし、それ以外のヤツなんてどーでもいい。

特に山本みたいな奴、すげぇ苦手部類の人間。


だから、なんでアイツのことを好きになったのかなんて聞かれたら返答に困ってしまう。


何話してても会話噛み合わないし、野球馬鹿だし、誰にでもいい顔する八方美人だし。嫌いなところなら、苦手なところならいくらでも言えるのに、好きなところが全然思い浮かばない。

いや、マジで。


こんな俺を山本はヒドイ奴だって思うだろう。


でもさ、何故だか分かんねーけどお前じゃなきゃ、俺は駄目なんだ。認めたくないけど。



十代目とはまた違うんだ。好きなんだ、山本が。でも、俺は言えない。そんなふうに、お前みたいに真っすぐぶつかっていくことなんて出来ないんだ。

好きだとか簡単に言えねぇんだよ。

なのに、てめぇは俺のそんな気持ちなんて全然お構いなく毎日のように聞いてくる。



『なぁ獄寺、俺のこと好き?』


言葉ってそんなに必要?俺は山本みたいに素直になれない。お前みたいになんでも思ったこと言えたら楽だよな。


相手の気持ちなんて考えず、自分の想いだけ言うことが出来たなら俺はこんなにも苦しい想いしなくて良かったのかな、なんて時々思う。


「好き」ってこんなに苦しいものなんだ。初めて知った。お前はいつもどんな気持ちで俺にそんなこと言ってくるんだよ?


なにも考えずに言ってくんのかよ?


もしそうならお前は凄い。


俺はきっと臆病なんだ。


言葉にするのはすごい簡単で、言おうと思えばいくらでも言葉は出てくるものなんだと思う。でも、俺は違う。


そんな簡単になれないんだ。


山本。きっとお前なら分かってくれてるよな?


言葉に出来ない想いも、きっと分かってくれてると信じている。


そんなふうに山本に頼りっきりで甘えてる。きっと、分かってくれてるんだと。言葉なんかなくても俺たちは大丈夫なんだって。



なぁ、山本?

お前はどう思ってる?こんな俺でもお前は好きだって言ってくれる?



end

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