小早川大樹

sunrise kiss
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「俺の気持ち……つたわってるか?」




大樹が聞いた



いつも無口な彼なのに
事あるごとに私に聞く



「楽しいか?」

「うれしいか?」

「気持ち良いか?」



それは彼の私へのいたわりの言葉達


「うん」


って答えると
いつも安心したように微笑みを浮かべる


その微笑む顔が大好きすぎて
愛しくて愛しくて
触れたくなる



キレイな空を見ると
君にキレイだねって伝えたくなる

「あぁ……キレイだな」
その一言が聞きたくなる



いつも私の側にいて
いつも私を見ていて


花咲く春も

風の渡る夏も

空高い秋も

風花舞う冬も


私だけ見ていて
私だけに触れて
私だけを揺らして


「ねえ大樹覚えてる?
この夏……」

私は指を深く絡める

「溺れた私を海の底から貴方が救った
人工呼吸で私の息を吹き返してくれた」


臨海学校
海に溺れた私を助けてくれた大きな手
新しい息を吹き込んでくれた暖かな唇


Sunset Kiss


ため息橋の下 日没の瞬間に
口付けを交わした恋人は
永遠の愛を手に入れるという伝説

その口付けを交わしたのと同じと
大樹は言うけど
実は私は気を失っていて
まったく覚えていない

それがずっと気になってた


「ねぇお願いがあるの」

一生幸せでいたいの
一生側にいて欲しいの

「私にキスして」


Sunrise Kiss


「何かね…初日の出の時に
貴方とキスできたら
ずっとずっと幸せが続く気がするの」

君はクスって笑って
きっと私のわがまま聞いてくれる
  
でしょ?






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