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□隣
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何度も何度も叫んだ。
でも誰も助けてくれない。
どうしてなの?
誰も来てくれないの?
もう喉が潰れてしまったのか、もう音すら出ない。
あぁ、この世界に落とされてすぐに死ぬのだなんて……なんと運のついていないヤツなのだろうか。
自分を恨んだ。
自分を恨んでみたら、誰かがやってきた。
誰かが私に触れた。
とてもとても、不器用だった。
でも、その腕の中が気持ちよかった。
「お前の魔力は膨大だな。こんな所に捨てるなど愚かな行為だな」
そう言って彼は私に居場所を与えてくれた。
好きな物は何でもくれた。
でも、一つ私にはくれなかった物がある。
彼は私から戦う術を奪った。
彼のために戦いたいのに……
彼は
「必要ない。二度と自分から死に行こうとするな。私のキラ良い子なら此処にいるんだ」
そう言って彼はいつも何処かへ行ってしまう。
あぁ、私では貴方の隣は不十分ですか?
(彼女が杖を持たず)(魔法を使いだすまで)(後―――)(10秒)