頂き物

□◇赤髪×鰐(♀)◇「俺を選べよ…クロコダイル」
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「赤髪ぃ…起きろって。おい」
「…ぐう」
「ぐう、じゃねえよ」
べったりと、クロコダイルの腰に抱きつきひざの上に顎を置いて眠るその赤毛の男にクロコダイルは苦笑交じりの声をかける。
突然たずねてきたかと思えば、椅子に座って仕事をこなしていたクロコダイルを軽々と抱え、ソファにそっと下ろし何をするでもなく人を枕代わりに眠り始めたのはかれこれ30分ほど前の話。
その間、始めこそどうすればいい…ってかこれどういう状況?と内心慌てふためいていたクロコダイルだったがひざに当たるふわふわの赤毛の感触が気に入ったのかしばらくそれを指先で遊ばせていた。
が、それもどうやら飽きてきたらしく。気持ちよさそうに眠るシャンクスの頬を指先で突けば「むに」と奇妙な声を上げるシャンクスが面白くてクロコダイルは再び小さく笑うのだった。
「なにが楽しくて…年上の女なんぞに構うかねえ」
それこそシャンクスの外見を持ってすればその辺の女なぞいちころだろうし、内面とて申し分ないだろうに。
それでもまるで子犬のように自分よりも年嵩のクロコダイルに甘えてくるその行動にクロコダイルもすこしばかり呆れていた。
「俺はお前の母親じゃあないんだがなぁ…」
「母親だとか、思ったことねえぜ?」
呟いた言葉に帰ってくる言葉に、目を丸めるクロコダイルは「起きてたのか」と呟くと小さくため息を吐き捨てた。
「起きてるならさっさとどいてくれ赤髪…仕事が…」
「俺はお前のことが純粋に好きだから、こうして会いにきてるんだが…な」
「だから、そういう冗談はやめ……っん」
「冗談じゃねえよ」
突然ふさがれた唇に、びくりと体を震わせるクロコダイル。
その細い体を抱きしめながら、シャンクスは体を起こすとそのまま、クロコダイルを自分のひざの上に抱え上げた。
すっぽりとシャンクスの体に収まりこんだクロコダイルはほんの少しだが頬を紅潮させている。
「可愛いな、本当に」
「冗談はほどほどにしろ…しまいには怒るぞっ」
「怒った顔も可愛いからなぁ」
「シャンクスっ!!」
「やっと名前で呼んだな」
「っ!だから…なん、だよ」
満面の笑みを浮かべてそんな些細なことを喜ぶシャンクスに、クロコダイルは胸を鷲づかみにされるような感覚に襲われる。
その感覚が何のなのか、クロコダイルとて分かっていた。
分かっていたが、それは決して決して気づいてはならない感情で―…。
「なぁ、クロコダイル…」
「な…なんだよ」
まっすぐな瞳に真正面から見つめられ、クロコダイルは居心地が悪そうに身じろぐ。
何もかもを見通すような視線はひどく真摯で、そして情熱的で…。
続きを無言で促すクロコダイルに、シャンクスはクロコダイルをぎゅっと抱きしめてささやくのだった。
「俺を選べよ…クロコダイル」と。
瞬間、ぶわりと顔を真っ赤に染め上げるクロコダイルにシャンクスは満足そうに笑顔を浮かべたのだが幸いなことか抱きしめられたままのクロコダイルには知られることはなかった。





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