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□桜の花が舞う頃に……
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春を象徴する花が今年も咲いてくれた。

私の家の目の前には大きな桜の木が私の生まれる前から生えていると母から聞いた。

私はこの桜の木が大好き。

だって、この木は…………。


【桜の花が舞う頃に……】


彼に初めて逢ったのが、まだ私が高校生だった頃だった。
初めはつんけんしてた彼も、次第に打ち解けるようになった。

彼の生い立ち。
彼の親。
彼の妹。

彼の秘密。


彼は……

私とは比べものにならないくらい大変な思いをしてきた。
何度、彼をその事で苦しめてしまったのだろう。

だけど、彼はそんな私を
咎めず
しっかりと教えてくれた。

私が彼の力になれないほど頼りない人間であっても彼は私についてきてくれた。

私の

そばにいてくれた――――――。


ともに戦い、ともに旅した仲間は散らばり今は遠く遙か彼方。

昔使えた『あの力』も今はもう使えない。
彼はこちらの者じゃない。

そう。彼は――――――。


私の体に一つの小さな命が見つかったとき、彼はすごく喜んでくれたことを覚えてる。

『おめでとう』って抱きしめてくれた。



無邪気に笑う彼を見て、本当に彼と出会えて良かったって思える。
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