オリジナル

赤と黒
9ページ/9ページ



「ガロン!!」
うつ伏せにになっていたのを仰向けに変える。無数の切り傷、打撲、狼に咬まれた跡もあったが、どうやら息はしていてた。
「良かった……。生きてた」
「こらこら。勝手に人殺すなよー」
閉じていた瞼を開いた。
すると、ガロンは慌てふためく。
「ちょっ……!! クレアは本当に泣き虫だなぁ」
ガロンは痛い体を起こし、クレアの涙を拭いてやる。
だが、一方に泣き止まないクレア。
「もう、ビックリしたぞ」
「私、武器持っちゃうと性格ちょっと変わっちゃうみたいで……。あまり人には見せたくなかったの」
「そうなのか。すげー、格好良かったよ!!」
「本当に! ……嬉しい」
頬を赤らめ照れるクレアにいきなり抱きつくガロン。
「?!」
「もう! お前って本当に飽きないなぁー!」
突然抱きしめられて、今度はクレアが慌てふためく。

「……初めて会ったときのこと覚えてる?」
「……うん」
「俺、思わず言っちまった事があんだが……俺の言ってた言葉覚えてる?」
「?」
「……そこは覚えてないわけね;」
「ごめんなさい……。」
「いや、別に……。 まぁ、『あれ』は嘘じゃないからな……」
不思議そうな顔をするクレア。
そんなクレアの耳元でガロンは囁いた。
「可愛いよ。クレア」
顔を上げると目の前には真っ赤な顔のクレアがいた。
「もし、クレアが嫌じゃなかったらこれからも会いたいなって……。ダメか?」
クレアは勢い良く顔を横に振る。

見つめ合う二人。

そんな様子を見るクレアの母親。二人に聞こえるように咳払いをする。
母親の方をみる二人。正直苦笑い。
「あんた、その怪我。見てあげるから中にお入り」
来いと言って中に入っていった。

再び顔を見合わせる二人。
「どうやら、平気みたいだね」
「そうみたいだな」
二人は笑い、ガロンとクレアは家へと入っていった。



彼女に言われた君を捜し出したとき。
不意に、自分の心が今まで感じたことのない感情の高ぶりがあったことは、またの機会に語ろうと一匹の人狼は思うのであった。







終劇
.





ただいま参加中です!
ファンタジー小説コンクール

*上のサイトをクリックして下さると投票されますm(_ _)m
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ