オリジナル

赤と黒
7ページ/9ページ


着いた先。
そこは大きな要塞のの様な場所だった。
「此処は……;」
「私の家」
「えっ?」

要塞の周りを煉瓦が覆い、横の方に小さな煙突をつけていた。

ガロンはそんな彼女の『家』にただただ、言葉が出なかった。
クレアは躊躇無くその要塞にある外観ににつかわないドアを開けた。

「お母さん! ただいま!!」
「クレア! 一体どうしたの?! いつもならおばあちゃんから連絡が来るのに来ないし、おばあちゃんのところに連絡入れようにも何故か繋がらないし…………?!」
クレアが帰ってくるのを待っていた母親は帰って来るなり心配でたまらなかったと話していると後ろの離れたところにいる人物に目が行った。
風貌から、母親はクレアを己の後ろに隠した。
「?! ……お母さん?」
「あなた、誰なの?」
ガロンは明らか己の事を聞いて来るであろうとふんでいた。
「お、俺は……」
「お母さん!!」
突如、クレアがガロンと母親の間に割り込んできた。
「クレア……そこを退きなさい!!」
「彼は……。ガロンは! 悪い狼じゃないわ!!」
クレアはガロンをかばう形をとる。
「クレア!」
「お母さんの言ってること正しいと思うよ
。……だけど、ガロンはお母さんが言うような悪い狼じゃないの!」
「クレア。あなたのひい祖母ちゃんが狼によって恐ろしい目にあったのは知ってるわよね。……私が、猟師であるお父さんと一緒になったのもそんな狼達を狩猟するため」
「!!……お母さんは、お父さんを愛してないの!?」
「違うの! そうじゃないのよ!! 私はあの人が好きよ」
「私は……お母さんの意見に同意できない! そんなの、お母さんじゃない!!」
クレアはガロンの下へ走っていく。
「クレア!」
母は必死に呼び止めるも、娘は振り返らない。

「クレア……。良いのか?」
「……大丈夫。ガロンは私が守るわ」
「え……」
「私、これでも父親にかなり仕込まれてるのよ。………ごめん。ビックリさせちゃったよね」
「……がう」
「えっ?」
クレアは先に歩もうとしたがガロンが足を止めたので彼女も足を止めた。
「違うよ……。クレア」
「? ……ガロン。何が違うの? 早く逃げなきゃ……」
「……俺は、お前のばあちゃんにお前を守るように言われた」
「……えっ? 待って、だってさっきガロンが行った時にはもうって……」
「俺とばあちゃんは顔見知り。俺が人間であるばあちゃんと仲良くして
たから仲間に目つけられて……。俺、何度も一緒に逃げるようにって言ったのに!! ばあちゃんは……」
「嘘ついたの……?」
「ちがっ……!」
ガロンは遠ざかるクレアを止めようと手をのばす。だが、クレアはそれを払いのける。
「嘘つき!! お母さんも、ガロンも!! 私、誰も信じられない!!」
大きな声で叫び、クレアはその場でしゃがみ込んでしまった。
ガロンはそんなクレアに近づこうとしたときだった。
こちらに来る時に通った道の方角から嫌な気配が近づいてくるのを感じた。
「くっ……!」
どうしたら良いかガロンは考えようとするが、どうしても浮かばない。
そんな中、この状況下でガロンは当初の目的を遂行しようと考えつく。

「クレア……早く家の中に入るんだ」
「いや!!」
「クレア!!」
クレアは強情にも動こうとしない。
だが、今はそうやって彼女の我が儘に付き合ってる暇がない。
ガロンはそんな彼女を無理やり横抱きにし、家へと走った。
「下ろして! ガロン!!」
「ちょっと! 私の娘に何をする気なの!?」
そんなガロンをクレアの母親は止めようとするが、ガロンは聞く耳持たず。
「さぁ、あなたも家にいて下さい」
ガロンはクレアのの持
ち方を変え、家に向かう途中にいる母親の腕を掴み、連れて行こうとする。
家に着くなり、母親の腕を放しクレアを下ろした。



.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ