オリジナル

赤と黒
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「ガロン!! 一体何が?!」
ただ黙々と後ろを気にしながら走りつづける。
背に一人背負ってるのに人の走るスピードとは思えない速さで木々を抜けていくのをクレアは風で感じていた。
「……来たんだ」
「え?」
「俺の仲間が……」
「何で仲間の狼を相手に逃げてるの?」
「……今の俺は群れを追い出された身だから……。それに今はお前が居るから、逃げねーと、どちらも食われちまう」
どうして彼が追い出されたのか、何故、自分をこうして守ってくれるのかが未だに解らないクレアだったが、ともかく急いで『逃げなくてはならない』それは理解できた。




ガロンはひたすら走り続け、気付くと森を抜けていた。
先程とはうってかわって、緑の天井が青色の天井へと変わった。
「クレア!」
「はいっ!?」
「俺は森の外のことは良くわかんねー。なんか良いところはあるか?」
「良いところって言われても…………!!」
「どうやら、思い当たる場所があるらしいな。よし、俺を誘導しろ!」
「う、うん!」


もし、その場所へ向かったらガロンはどうなってしまうのだろうか。
ただ、今の私には『そこ』しか思いつかなかった。
そんな事を考えながら、ひたすら走るガロンにクレアは道を記した。




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