聖界

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アテナ神殿に着くと同時に何かが僕の中で弾ける感じがした。


…そっか"ハーデス"が倒されたの…か。

何かが弾けてから
すっ、と僕のまわりの空気が温かくなった、気がした。


「…おつかれ、父様…」



《…余に話しかける…貴様は……誰、だ》



直接脳に響いてきたこの声、は

「僕、…私は貴方…の…、3世紀前に生き別れた、貴方の娘…です」

ついさっき思い出した。
どうして今まで忘れていたのだろう。

自分の中で答を求めていく内に涙がでてきた。


「…天なの…か…?」

父様…、ハーデスが"天" と呟くと僕の身体の外層がボロボロと崩れていった。


「…!…その姿はペルセフォネの生き写し…、…そうか、天…よく生きておったな…」


今度は目の前から聞こえた。

否、透明掛かってはいるけど目の前に父様がいた。


目の前の父様は笑っていた。


ただいま、父様






††††††


私は、父様との再会を果たしたあと 今まで何処にいたか、どうしていたか…などを父様に話した。









「…、…天」

「なんでしょう父様?」

「余はお前に話さなければならん事がある。心して聞くのだ」

「は、はい。」

…急に真面目顔になった父様
…何か嫌な予感が…する



「余は冥界の指揮及び冥王の位を天に譲渡す。」


「…?!そんな…」

「もう…余は肉体を持たぬ。かと言って天に肉体を借りるわけにもいかぬだろう?
…今、ここで余がしてやれるのはこれ位しかあるまい。…それに天は余の娘。冥王の器にこれ程最高な者はない。」

「…っ…父様は…私が譲り受けたら…父様は…父様、は、どうなるのですか?」

ぽた…ぽた…

私の目から流れ出るそれはいつの間にか大粒になっていた。

「また…私は…父様や母様と…離れ離れにならなければいけないの…ですか…?」

「心配せずとも良い。…余は天の側におる。何処へも行かぬ。」

「グス…本当に?」

本当?ほんとうに?

「本当だ…」

私に優しい笑顔を向けてくれた父様。
両手を横に広げて笑っている。
…アレですか?
《僕の胸に飛び込んでおいでっ》
っていうやつですか?

(Σ折角シリアスにしたのにギャグに持ってかないで)

…五月蠅いよ?(黒

…コホン。

え?飛び込んで良いの?
飛び込んじゃうよ?!

「うう…(ズビ …とーさまーっっ」

たたたた…


       …すかっ

…そっか。父様実体ないもんね…

「だ、大丈夫か?」

「うん…。」

「…では余の小宇宙を全て託す。ゆくぞ?」


そう言って父様は私の前から姿を消した。
その代わり私は父様の冥衣を身に纏っていた。

「ズビ…父様…」


と、一言呟いて私は仲間を蘇らせるための錬成陣をアテナ神殿の石畳の上に書き始めた。


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