風界
□second
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眞琴は先程の"神谷"と鮃顔に呼ばれた少年と一緒に長い廊下を歩いていた。
…華散る迄…
ぽた…ぽた… と、眞琴が歩く度に板張りの長い廊下に水滴が落ちる。
「すみません。 お怪我はありませんでしたか ?」
と、歩みを止め振り返った少年に謝られる眞琴。
「神谷少年は何も悪い事してないのに。何故謝る?」
「(し、少年?)…先生方を誤解しないで下さいね?」
あぁ見えても優しい人達ばかりなんです、と言葉を紡ぐ神谷少年(移った)
「(話外れてない…?)」
眞琴は思った。
神谷は今まで進んで居た方向へと身体を向き直すと今度は眞琴の手を握ってある一つの部屋へと急いだ。
「…土方さーん、何時までボーっとしてるつもりですか〜?」
「…!(俺としたことが…/ガーン)あの女は何処に行きやがったか分かるか?総司」
「えーと、確か神谷さんが…?」
「またアイツが… ハァ」
「はい、この浴衣に着替えて下さい。あと、手拭いも一緒に置いて置きますから使って下さいね。風邪引いたら大変ですもん」
「あ、有り難う…」
「じゃあ、私は部屋の外に居るんで着替えたら呼んで下さいね」
パタンと音を立てて閉まった障子
眞琴は頭を手拭いで拭いてから今着ている服を脱ぎ神谷が用意してくれた浴衣にいそいそと着替えた。
「〜っ神谷ぁ!!あの女と何処に消えたァーーー 」
↑多少は探したらしい。
「多分、自室じゃないですか?あの娘びしょ濡れでしたからねぇ〜」
「神谷の自室…?」
「あぁ、私と斉藤さんの部屋の押し入れの中です。」
きゅっと浴衣の帯を締め、着替えた事を神谷に知らせようと襖に手を掛け"終わった"と言おうとした途端、
『神谷ァーーー 』
と威勢の良い…否、怒声が聞こえて来た。
「あれ、副長じゃないですか。どうしたんです?」
後からゾロゾロと2.3人付いてきた。
「…あの女を何処へやった!!」
「あの女の人なら中で着替えを…」
していますが、副長、どうかなされたんですか?と神谷の台詞が続くハズだったのに、土方は気にも留めずに部屋の襖をスパンッと開けた。
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