すれいやあず

□逢いたい気持ち
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ある晴れた日の昼下がり。
フィリアは自身が営む骨董品店で、一人店番をしていた。

この店はフィリアの夢であった。
大好きな骨董品に囲まれた暮らし。
フィリアは、自分の足で行けるところであればどこへでも赴き、商品をかき集めたのだった。
開店にこぎつけるまでは苦労したが、それもまた楽しかった。

骨董品店には繁忙期があまり無い。
消耗品ではないので頻繁に買うものではないし、買うお客もそれなりに慎重だ。
日によっては、何も売れない日もある。
だが、品物1点1点の値は張る。
1品売れればそこそこの儲けになるので、数は売れなくとも、贅沢さえしなければ暮らしに困るようなことは無かった。

この日はいつもに輪をかけて暇だった。
買うつもりはない、見るだけのお客すら居らず、店内はフィリア一人。
その上、供にこの店を営むクラボスとジラスは仕入れで二つ隣の街まで出掛けており、話し相手もいない。
商品の手入れも午前中に済ませてしまったフィリアは、店の奥にある小さな椅子に腰かけ、カウンターに頬杖をつき、ヴァルの卵の入ったバスケットを見つめていた。

「ここまで暇なのは久しぶりだわ…。」
フィリアはふうと息を吐いた。
こんな時に、ついつい思いを馳せてしまうのは、これまでのこと―――。
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