恭人夢

□uno
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俺は金が大好きだ
…とはいっても、守銭奴ではない
適所に、適切に遣う
金は生物だから、一ヶ所に長い間放置して置くと腐る
逆に、ちゃんとした遣い方をすれば、二倍にも三倍にもなる

そんな水物加減が好きだ
己の身の程をこんなにも容易く、明解に、迅速に計れるものはない
たとえあったとしても、裏社会ではそこそこの知名度を誇る俺が知らないほど、ドマイナーな代物なんだろう

そんなわけで俺は、六道骸と対峙している真っ最中だ
「まあ、依頼金は既に戴いているので、お申し付けさえあれば今すぐにでも、情報を提供することは容易に出来るんですよ
此方も、何分信用商売ですしね、確実な情報しか流しませんし、クライアント様もそんな噂をお耳にされてご依頼なさられたんですよね?
ああ、別に妙な詮索をしようという訳ではないですので、御心配無く
実は私、宣伝等を全くしておりませんで
完全口コミの様なものでして…」

『六道骸』は押し黙ったまま、此方を睨み付けている
沈黙をつくらぬよう、営業トークで間を埋める
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