REQUIEM

□STAGE07「コーネリアを撃て」
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「だとしたら、ナナリーはどうなる!弱いから諦めなくてはならないのか! 俺だけは絶対に認めない。そんな世界は俺が消し去っ……」
 ゼロの腕の中でルルーシュが吼える。
 落ち着かせようにゼロが抱き締めているが、気持ちが高ぶっているルルーシュは叫ぶ。
 ナナリーのことに関してはルルーシュは譲らない。
 だが、その言葉も途中で止まってしまう。
 C.C.がゼロとルルーシュに銃を向ける。
「行くな。私との契約を果たす前に死んでもらっては困るからな」
 契約者はゼロなのに、何故かゼロがルルーシュを守るように前に出る。
「行っていることと、やっていることが違うんじゃないか?」
「殺しはしない。足だけ撃って大人しくしてもらうさ」
 確かにそうすればゼロがコーネリアのところへ行くことはないだろう。
 ルルーシュはギアスの力を持っていない。
 ルルーシュが単身でコーネリアと闘うことはない。
 C.C.はゼロさえ止めればいいのだ。
 それなのにゼロはルルーシュを庇おうとしている。
(双子以外に何かあるのか……?)
 ゼロのルルーシュに対する想いは異常ともいえる。
 そしてそれにルルーシュは気付いていない。
「なるほど。お前、ギアスは使えないんだな。……まあ、予想はついていたがな。自分でやれるなら、私に頼んだりはしない」
 ゼロも懐から銃を取り出す。
 それに驚いたのはルルーシュだ。
「ゼロ?」
 ルルーシュは知らない。
 ゼロは今までにも何度も銃を使い人を殺してきた。
 しかしルルーシュはクロヴィスを殺したのが初めてだと思っている。
 だが銃を持つゼロはとても慣れていた。
 銃をかまえる姿を見て、ゼロがとても遠い人に見えた。
「私が銃を恐れると思うのか?」
 確かに彼女に銃は効かないだろう。
 それはあの日に確認済みだ。
 だが、彼女が恐れるものがある。
「恐れるさ」
 ゼロは自分のこめかみに銃を押し付ける。
 ルルーシュは何も言わない。
 言葉にしなくてもゼロが決意していることは分かる。
 だから何も言わない。
「私はお前に会うまで、ずっと死んでいた。無力な屍の癖に生きているって嘘をついて、何もしない人生なんて、ただ生きているだけの命なんて、緩やかな死と同じだ。また昔みたいになるくらいなら……」
 トリガーにかかる指に力が入る。
 もちろんゼロはもう死ぬつもりはない。
 ルルーシュを守るための力を手に入れたのだ。
 これは賭けだ。
 C.C.さえ諦めさせることが出来ればいい。
「待てっ」
 ゼロに死なれるわけにはいかないC.C.は銃を下ろす。
 それに内心ほっとしながらゼロも銃を下ろす。
「確かに……意味はないな。そんな命」
「ルルーシュを頼む」
 ルルーシュをC.C.に預けるとゼロは行ってしまう。
 一応引き止めることなく見送ったが、ルルーシュは心配で仕方なかった。
「おい、C.C.」
「何だ?」
 ゼロを死なせるわけにはいかない。
 意を決したルルーシュは再びベッドに横たわってしまったC.C.の横に立つ。
「俺をゼロのところへ連れて行け」
 ルルーシュの決意にC.C.はにやりと笑う。
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