REQUIEM

□STAGE03「偽りのクラスメイト」
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 ゼロですら得たばかりのその力の全てを分かっていないということだ。
「とりあえず、ゼロ……というか、ルルーシュ・ランペルージがあのとき指示を出していた男じゃないと分からせればいいんだよな」
「そうだ」
 それくらいならゼロとルルーシュがいれば何とかなるかもしれない。



 どうやってルルーシュが潔白であることを証明しようかと考えているとタイミングがいいのか悪いのかカレンを生徒会に入れる話になり、何故かシャンパンを被ってしまい、今カレンはシャワーを浴びている。
「ゼロ……」
「分かっている。よろしく頼む」
 着替えになる洋服を取りに来たルルーシュはゼロに実行の合図をする。
「思ったより活発なんだな」
 シャワールームに着替えを持ってきたルルーシュはカレンに手首を掴まれてしまう。
 女のくせにその力は強い。
 少し痛んだが顔には出すことはしない。
 カレンの質問をのらりくらりとかわして時間を稼ぐ。
 緊迫した二人の意識に割り込むように電話が鳴る。
「出ないと誰か来ちゃうけど……いいかな? はい、アッシュフォード学園生徒会」
『彼女に代わってくれ』
 それはルルーシュが待っていたゼロからの電話だ。
 その声にルルーシュはカレンに見えないようにそっと笑みを浮かべる。
「え? いや、俺は……はぁ、君宛だ。出れば分かるってさ」
 受話器をカレンに渡す。
 警戒は解かれていないのか腕は解放されない。
 それでも電話相手がルルーシュでないと分かれば誤解は解けるだろう。
 双子ということは、こういうときにとても便利だ。
 ゼロからの電話によってルルーシュは漸く腕を解放された。
 制服の上から握られていたというのに、ルルーシュの細い手首は赤らんでいた。
(これで大丈夫だな)



「お兄様、大変!」
 着替え終わったカレンを連れて部屋に戻るとナナリーの悲痛な声が飛び込んできた。
「なんだい?」
「クロヴィス殿下が亡くなったのよ」
 ナナリーの代わりにミレイが教えてくれる。
(……このタイミングで?)
 テレビではジェレミアが何やら喚いている。
 だがルルーシュは興味がなかった。
 このタイミングで発表する意味が分からなかった。
 そしてその理由はテレビから教えられる。
(スザクっ!)
 クロヴィス殺害の容疑者として捕らえられていたのは、七年振りに再会し、ルルーシュの目の前で撃たれて死んだはずのスザクの姿があった。
 自分たちの代わりに拘束されているスザクにショックを受ける。
(そんな……スザク……っ)
 そんなルルーシュの後ろ姿を廊下から見つめていたのはゼロだ。
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