REQUIEM
□STAGE03「偽りのクラスメイト」
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その日の夕焼けはいつもより禍々しく赤く輝いていた。
皇族の中でも温厚なクロヴィスは銃を付きつけられ恐怖に震えている。
それでも目の前にいる少年二人に驚くことも忘れない。
「……双子だったのか」
皇族内で双子は不吉とされる。
そのため、産まれてすぐに双子は引き離される。
だから義兄が知らなくても仕方がない。
「そうですよ。私と彼は双子。皇帝がそれをどう否定しようが私たちの身体の中にあの男の血が流れていることは間違いない」
そのことをゼロもルルーシュも恨み続けた。
この血さえなければ、こんな目には合わなかったかもしれない。
しかし全ての血を入れ替えたとしても、細胞の隅々にまで行き渡っている皇帝の遺伝子まで入れ替えることは出来ない。
ゼロの後ろでルルーシュは辛そうに自身の身体を抱き締めている。
「……嬉しいよ、ルルーシュ。日本占領の時に死んだと聞いていたから……。どうだい、私と本国に……」
自分に銃を向けているのが弟だと分かるとクロヴィスに少し余裕が出てきたようだ。
嬉しそうに、意味のない言葉をかけてくる。
「また……また外交の道具にする気か! お前は何ゆえ俺たちが道具になったか忘れたようだな」
今まで大人しくゼロの後ろにいたルルーシュが怒りを顕にする。
「そう……母さんが殺されたからだ!」
怒りをぶつけるように叫ぶルルーシュの身体をゼロが抱き締める。
「ルルーシュ、落ち着け」
あの事件さえなければナナリーは目も見えず、歩けなくなることはなかった。
ルルーシュが日本に送られることもなかった。
ここまで深くルルーシュが心に傷を作ることもなかった。
傷付いたルルーシュを守ることが出来るのはゼロだけだ。
「なら、知っていることを話せ。俺の前では誰も嘘は付けない」
ルルーシュが知りたがっていることを話させるためにゼロが王の力を発動させる。
だがクロヴィスはマリアンヌの死に関して何も知らなかった。
しかし新しい情報を得ることが出来た。
どうやらシュナイゼルとコーネリアが何かを知っているらしい。
それ以上に情報を聞き出すことは出来そうになくてゼロは発動を止める。
王の力から解放されたクロヴィスは付きつけられた銃に怯え喚き散らす。
「分かったよ」
殺さないで欲しいというクロヴィスにゼロは銃をおろす。
「しかし」
「!」
数歩近付きクロヴィスの額に銃を突きつける。
「綺麗ごとで世界は変えられないからな」
ゼロは無表情に引き金を引く。
瞳に恐怖を浮かべながらもルルーシュは目を逸らさなかった。
それが業というものだということを知っているから……。