Kiss.xxx
□君と。
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それを聞いてため息をつく。
出来たら苦労しないのだ。
「あのね、祐にとったら私なんて、ただの我が儘なクラスメイトなんだってば!」
今の様に、「喉が渇いたからジュース!」なんていうのは日常茶飯事で、祐も仕方なくそれを聞いているのだ。
発端は去年中学一年生の時。
テストの時にたまたま祐の隣だった私が、消しゴムを忘れた祐に貸してあげたのがキッカケだった。
貸してあげたと言っても、大きかった消しゴムを半分に割っただけだったんだけど。
「良かったら使って」と渡したら、次の日には新しい消しゴムを買ってきて返してくれたのだ。
その時の消しゴムは、まだ大事に取ってあったりする。
それがキッカケでたまに話すようになった私達だけど、後に、祐に頼み事をする時に私は言ってしまったのです。
「あの時、消しゴム貸してあげたのは誰だったっけ?」って。
それ以来、祐が私の頼みを断る事は殆どと言っていい程ない。
だから、去年の冬までは思ってたのだ。
祐は私のものだって。
違うと気が付いたのは祐の親友が私に言った言葉だった。
【あいつ、好きな人居るらしいよ?】
「我が儘なクラスメイトって…。分かってるなら止めればいいのに」
美波が呆れた様に言ってチラッと私を見る。