小説

□あの日の約束
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僕たちは今家族旅行をしている。


場所は北海道だけど、ちょっと僕たちの家から離れた場所。


僕たちの家は北海道の中でも5本の指に入る都会な町。


だけど此所は見渡す限り森。


というか、雪景色。


僕たちの家からかなりかかったため、隣りにいるアツヤは
寝息をたてて寝ている。

僕たちは森の中に入ってすぐのペンションにお泊まりだ。


アツヤは部屋に入ったとたんベッドの上で寝てしまった。


部屋にある暖炉のおかげで部屋の温度は心地よい。


「此所にきて良かったな」


お父さんが低い声で呟く。


「うん。ねえお父さん」

「何だ?」


「すっごくキレイな星が見えるってほんとう?」


「ああ、本当だよ」


お父さんは僕に向かって優しく笑う。


そして窓の方を見て口を開く。


「流れ星がいっぱい流れてくるんだぞ、いっぱいお願い事しな」


「どうして、お願いごとをするの?」


「お星様が願い事を叶えてくれるからだよ」


「そうなんだ、じゃあお願い事しよ」


「そうだね」


まだ辺りは明るい。


というか夕日に染まっている。


白い雪もこの時だけオレンジ色に見えて
不思議な気持ち。


「士郎たち、温泉はいってくれば?」


荷物を片付けているお母さんが僕たちに言う。


「サッカーもいいけど、たまには息抜きも必要よ」


「今日はサッカーしないよ」


「まあまあ士郎、じゃあ温泉入ってくるか」


「アツヤは?」


「寝かしとく?」


「それは駄目だよ、アツヤ置いていくと怒るもん」


僕はアツヤの体をゆする。


「んんっー」


アツヤがむくりと起き上がる。


「何だよ兄ちゃん、せっかく寝てるのに」


「お父さんさんが温泉入ろうって」


「おんせん?」


ねぼけてるアツヤは目が半開き。


そんなアツヤを見て笑っちゃった。


「何で笑ってんの兄ちゃん」


「アツヤ寝起きでへんなかお」


「何だと!兄ちゃんが無理矢理おこすからじゃん!」


アツヤが僕にのしかかる。


「はいはい、喧嘩はいいから、行くよ」


僕とアツヤは軽々しくお父さんに抱き抱えられ、
温泉に向かったんだ。







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