別れ道
□reila
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━━━清明が死んだ。
だけど、俺は生きていた。
生きてたって何も意味がないのに。清明だけが唯一俺を受け入れて認めてくれたのに。
清明が死んだ!
なのに世界は何語ともないかのように回り続けていた。俺も、終わることができなかった。
清明の温もりがこんなにも残るこの家で……
ねぇ清明……目を開けて嘘だと笑ってよ………俺を抱きしめて、キス、してよ....
―――立夏、一緒にお風呂入ろうか
清明はそんなことを言った。
俺はもう子供じゃないのに、なんでだろうッて思ったけど、清明が
「いや、かな?」
なんて、寂しそうに首をかしげたから。
「いやなわけないよ、俺は清明が好きなんだからッ……!!!」
俺は必死になって、清明にしがみついて言った。
だって、本当のことなんだ。俺は清明が……清明だけが好き……母さんに否定された俺に生きる理由を与えてくれる清明だけが。
そんな俺の気持ちを分からない清明は半信半疑のままで、だけど、優しく頭を撫でてくれた。
「じゃあ一緒に入ろう」
「ぅ、うん!」
やっぱり、久しぶりだから、ちょっぴり恥ずかしくて、思わずどもる、唇。
返事をして清明を見上げた。
瞬間。
「んっ!?」
清明からの、突然の、キス。
びっくりしすぎて、訳が分からない。抵抗もできない。息もできない。目も閉じられない。
抵抗できない。清明だから。
「ぅッ……ンむ……んぅっ」
いつの間にか舌を入れられていた。
そんなハズあるわけないのに、 また 清明は、知らない人のように見えた。
正直、少し、怖い。
「ぅっ……ンふ……ッ!」
息ができない。分かってるのに、鼻から息を吸うことができなかった。
涙がにじむ。
清明が、見えない……
途端、急に清明の唇が離れた。
「立夏、お風呂に行こうか」
「う、ぇ?」
何事もなかったかのように、清明はにっこり笑ってお風呂へと消えた。
………さっきの、あれは、なに?
俺の知っていることは、清明が教えてくれたことだけだから。
ねぇ、さっきのは、なに?
「ッん……待っ、て」
慌てて後を追う。
なんとなく、危険だということは本能で分かってたんだけど、興味が勝った。
全部知りたかったから。
清明のこと、全部、知りたい………清明が、教えて。