別れ道

□reila
1ページ/6ページ

━━━清明が死んだ。

 だけど、俺は生きていた。

 生きてたって何も意味がないのに。清明だけが唯一俺を受け入れて認めてくれたのに。

 清明が死んだ!

 なのに世界は何語ともないかのように回り続けていた。俺も、終わることができなかった。

 清明の温もりがこんなにも残るこの家で……


 ねぇ清明……目を開けて嘘だと笑ってよ………俺を抱きしめて、キス、してよ....








―――立夏、一緒にお風呂入ろうか

 清明はそんなことを言った。

 俺はもう子供じゃないのに、なんでだろうッて思ったけど、清明が
「いや、かな?」
なんて、寂しそうに首をかしげたから。


「いやなわけないよ、俺は清明が好きなんだからッ……!!!」


 俺は必死になって、清明にしがみついて言った。

 だって、本当のことなんだ。俺は清明が……清明だけが好き……母さんに否定された俺に生きる理由を与えてくれる清明だけが。

 そんな俺の気持ちを分からない清明は半信半疑のままで、だけど、優しく頭を撫でてくれた。


「じゃあ一緒に入ろう」

「ぅ、うん!」


 やっぱり、久しぶりだから、ちょっぴり恥ずかしくて、思わずどもる、唇。

 返事をして清明を見上げた。

 瞬間。


「んっ!?」


 清明からの、突然の、キス。

 びっくりしすぎて、訳が分からない。抵抗もできない。息もできない。目も閉じられない。

 抵抗できない。清明だから。


「ぅッ……ンむ……んぅっ」


 いつの間にか舌を入れられていた。

 そんなハズあるわけないのに、 また 清明は、知らない人のように見えた。

 正直、少し、怖い。


「ぅっ……ンふ……ッ!」


 息ができない。分かってるのに、鼻から息を吸うことができなかった。

 涙がにじむ。

 清明が、見えない……



 途端、急に清明の唇が離れた。


「立夏、お風呂に行こうか」

「う、ぇ?」


 何事もなかったかのように、清明はにっこり笑ってお風呂へと消えた。

 ………さっきの、あれは、なに?

 俺の知っていることは、清明が教えてくれたことだけだから。

 ねぇ、さっきのは、なに?


「ッん……待っ、て」


 慌てて後を追う。

 なんとなく、危険だということは本能で分かってたんだけど、興味が勝った。

 全部知りたかったから。

 清明のこと、全部、知りたい………清明が、教えて。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ