別れ道

□つめこみ
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―――――――― こんなにも、痛い。


 サクリファイスは戦闘機の代わりにダメージを受けるんだと言っていた。
気持ち悪くて、吐きそうで、頭がクラクラする感じ。“拘束”されたところが、ひどく、痛む。

 草灯は…………清明も、こんなことをしていた、と言っていた。

 俺は清明に、清明の代わりを頼まれたのかな?

 理由なんていらない…………清明が、俺を頼って、信用して、『サクリファイス』を俺にたくしたのなら。
どんなに嬉しいだろう。

 清明は殺されたのだと、草灯は俺に教えてくれた。
そして、パソコンの中のフォルダに、確かに、清明は俺にメッセージを残していた。殺される、と。
俺に何ができるだろう。ななつの月・・・・・俺はそれを殺したい。清明を殺した理由が聞きたい。
許さない。俺の清明を奪ったやつらを、俺は許さない。

 草灯が、戦闘機のサクリファイスになることが俺の信用されている証ならば。喜んで引き受けたい。
清明の生きている証、それが草灯で、それが、サクリファイスで。
……そして、それが痛みだとしても。

 清明の為なら、俺は受け入れる。

 痛いのはいやだけど、それでも、俺は清明が欲しい。清明が、ほんのひとカケラでも草灯の、サクリファイスの、痛みの中にあるのなら……俺は、欲しい。






「草灯……痛みに耐えるには、どうしたらいいと思う?」






 それが、全ての引き金だった。
否、きっと、これは必然の結果への、ひとつの契機(キッカケ)にすぎなかっただろう。

 必然に。





「俺は清明を殺したヤツラを許さない。」


 立夏には清明だけなんだ。
ななつの月を探し出すこと、それが今の俺の存在意義だと思う。いつか『立夏』が出てくれば、あっけなく消えてしまう人生の、存在理由だと。

 全部、清明が教えてくれた。全部、清明だった。
清明が死んだら、俺、生きてる意味なんてなかった……でも、今、やっと分かったから。
俺の生きてる意味。清明がくれた、俺の存在意義。


 草灯が驚いて俺を見ている。
他に、誰も教えてくれる人がいない……清明が俺に残した草灯しか、俺にはない。


「草灯! 教えて、痛みに耐える方法!」
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