別れ道

□赫い鼓動
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「立夏………」




それはそれは

恐ろしい、瞳だった。








「清明......やっ………どう、したの?」






ライオンに睨まれたインパラのような気分だった。

喉元に突きつけられた真実のナイフ、知らないフリをしてきたことに、いやというほど向きあわされる。






胸倉をつかまれて、壁に押し付けられる。

10センチほど、地から足が浮き、苦しさに瞼(まぶた)をふるわせる。

優しかった清明の面影はなく、ただ、瞳だけが炯々として、その瞳に恐怖を覚えずにはいられない。



「やっ………清明、苦しいッ!!」

「俺のこと、嫌い?」

「はぁ、はぁっ...好き、だよ? 清明が一番っ………ッハァ、ハッ」




息ができない。

何もかも支配されているかのような感覚に陥る。

目の前の男が、兄だとは到底想えなかったが、それでも清明の顔をしているので、立夏は逆らえない。

嫌いだと言えば、彼は傷つくだろうから。
いつも疑っているのだから。






.........本当ハ俺ノコト怖インデショ?



そんなことあるわけないよっ

俺には清明だけ………清明だけ、いればいいんだ。







next.

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