「立夏………」 それはそれは 恐ろしい、瞳だった。 「清明......やっ………どう、したの?」 ライオンに睨まれたインパラのような気分だった。 喉元に突きつけられた真実のナイフ、知らないフリをしてきたことに、いやというほど向きあわされる。 胸倉をつかまれて、壁に押し付けられる。 10センチほど、地から足が浮き、苦しさに瞼(まぶた)をふるわせる。 優しかった清明の面影はなく、ただ、瞳だけが炯々として、その瞳に恐怖を覚えずにはいられない。 「やっ………清明、苦しいッ!!」 「俺のこと、嫌い?」 「はぁ、はぁっ...好き、だよ? 清明が一番っ………ッハァ、ハッ」 息ができない。 何もかも支配されているかのような感覚に陥る。 目の前の男が、兄だとは到底想えなかったが、それでも清明の顔をしているので、立夏は逆らえない。 嫌いだと言えば、彼は傷つくだろうから。 いつも疑っているのだから。 .........本当ハ俺ノコト怖インデショ? そんなことあるわけないよっ 俺には清明だけ………清明だけ、いればいいんだ。 next. |
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