長編小説

□episode.5 ...or happiness?
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「立夏、ごめん………」


 草灯に後ろから抱きしめられる。
その優しい腕に、安堵と不安を感じずにはいられなかった。

 ごめんって、なんだよ………どうしよう、怖い!

 捨てられるかもしれない。俺は、草灯まで失ってしまうのか?
清明が残した、唯一の俺のモノ。

 いやだ! 嫌わないで!!!


「草灯っ...!」

「ごめんね、立夏、痛かったでしょ?」


 そう言って、草灯は俺にキスをした。
ちゅ、ちゅ、と、フレンチで優しい、慰めるような、いつもの甘い、甘いキス。
その口付けが俺に知らせる。

 ああ、まだ、大丈夫だ、と。

 ホッと安堵の息を吐く。

 抱き締めてくれた背中を、強く、強く、握り締める。




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