長編小説
□episode.2 glitter
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――――― 清明が、死んだ。
俺にとって清明は、唯一信頼できる大切な………一番、好きな人、だったのに。
世界でたった一人きりの、『好き』って言われても嬉しい人だったのに。
清明は、俺の………兄貴で……俺の………。
側にいると、言ったのに。
抱き締める腕は、あの日もいつもと変わらず強く、優しい男の腕だったのに。
いつものように朝目覚めてみても、
いつもと違う清明がいない………俺の側に。
清明が死んだ。
なのに世界は、何一つ変わることなく在り続けている。
それがどんなに哀しいことかと思った。
清明が死んだのに、なぜ、父さんはいつもと変わらず会社に行くの。なぜ俺は、いつもと変わらず学校に行かなくてはいけないのだろう。
もちろん、俺は馬鹿じゃないから、本当は、理性ではちゃんと分かってるのに。
清明、清明、清明…………
どうして俺をおいて行ったの?
ひとりにしないで...俺には、清明だけなのに。
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