長編小説
□episode.1 dream
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―――――――― 清明は、優しい兄貴だった。
今日も母さんに殴られた。
あんまり清明に心配かけたくないから、傷つけるなら、できるだけ隠せる所にして欲しいのに。いつもみたいに、母さんは顔を殴った。
痛いけど・・・・・清明が帰って来たら。
口、切れたかな?
なんだか口の中いっぱいに、血・独特の鉄の味が広がって、 また 口が切れたことを知らされた。いいかげん、血の味にも慣れた。
このくらい平気だ。我慢できる。
前は痛くて、泣いたりしてたけど、今は、もう泣かないしね。これくらいなんてことない。
だって、俺には清明がいるもん。
俺が自分の部屋で血が止まったのを、鏡を覗きこんで確認していると、ガチャ、と、音がした。
―――― 清明だ!
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