小説
□恋愛シーン(濃厚)テスト
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「…ふぅ」
落ち着いた彩音がため息をもらし、ベンチに保たれかかった。
「ごめんね?映画代とか払ってもらっちゃって…」
俺の顔を覗き込んでくる彩音の顔に、少し心配そうな色が浮かんでいるのは、きっと今日が初デートのせいもあるのだろう。
普段は見られない彩音の初々しさに、俺は微笑みを隠せない。
「ん?いいよそんくらい。俺楽しかったし」
「…うん、ありがと。あたしも楽しかった」
正面を向き直した彩音も、可愛らしい顔に微笑みを浮かべていた。
すでに日は落ちかかり、今は俺らしかいない小さな公園は、橙色に輝いている。
「…ねぇ、ヒロ」
普段とは打って変わった真剣さを含んだ彩音の声に、俺はドキッとする。
「ん?なんだい」
内心を悟られないよう、平常を繕って、彩音の顔を見る。
紅に染まる彩音の顔。その小さな唇が、躊躇いがちに開かれた。
「…あたしの事、好き…?」